京都大学大学院理学研究科附属天文台の柴田一成教授らの研究グループは5月17日(木)、太陽系外惑星探査機「ケプラー」の観測データから、太陽に類似した星におけるスーパーフレア(巨大な爆発現象)を多数発見し、解析結果を発表しました。5月16日付の英科学雑誌「Nature」オンライン版に成果が掲載されています。
▽ 太陽型星におけるスーパーフレア — 京都大学
▽ Superflares on solar-type stars : Nature : Nature Publishing Group
スーパーフレアとは、太陽で発生している爆発現象「太陽フレア」の100~1000倍の規模の超巨大爆発です。これまで太陽型の星でのスーパーフレアは9例しか見つかっておらず、研究が難しいとされてきました。
今回の発表によると、ケプラーの観測データをもとに365例のスーパーフレアを発見し、統計的な解析が可能となったそうです。その結果、太陽型の星でも太陽フレアの1000倍規模のスーパーフレアが5000年に1回、100倍規模のスーパーフレアが800年に1回発生していることが確認されました。また、従来スーパーフレアの発生に必須の条件だと考えられていたホット・ジュピター(中心の恒星から近い軌道を公転している巨大惑星)は、スーパーフレアを起こす星の周囲にはまれであることなどが明らかになったそうです。つまり、「太陽ではスーパーフレアは発生しない」という通説が覆されたことになります。
太陽フレアの発生に伴い、地球では停電や人工衛星の故障、通信障害など、さまざまな被害が発生することが知られています。同研究グループによれば、もしスーパーフレアが太陽で起きた場合には「地球は甚大な被害を受けると予想される」とのことです。
同研究グループでは今後も、ケプラーが収集したデータの詳細な解析に加え、ハワイに設置されている「すばる望遠鏡」や、京都大学が岡山県に建設中の3.8メートル新技術望遠鏡を用いた調査を進めていくそうです。