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「漫画好きには天国に近い」 オーナーの情熱が生んだ、名古屋の“描ける”漫画喫茶


■ 画材を貸し出して描きたい人をバックアップ

漫画空間の魅力は、なんといっても快適な空間で漫画を描けること。描くスペースは基本料金のみで利用でき、1人用の机の上にはデスクライトやティッシュなどが備え付けられています。さらにコピー用紙やインク、ペン、筆、コピック、トレース台など基本の画材は無料で利用可能。原稿用紙やスクリーントーンなどもその場で購入できます。


(左)無料で使用できる画材 (右)スクリーントーンの種類は約30~40種

漫画喫茶として“読む”スペースにも力を入れています。所蔵している漫画は約1万冊。つげ義春や大友克洋、平田弘史らの絶版になった単行本や、他店にはないレアな漫画も多数あるそうです。また、他の利用者が描いた作品を読むこともできます。

オーナーの内藤さんによると、メインの客層は20代~30代の男女で、下は小学生から上は70代まで幅広い年齢層の人々が訪れます。そのうち描く人が8~9割と、大多数を占めています。学生よりも、仕事帰りや休日に描きに訪れる社会人が目立つとのこと。リピーターが多く、ほぼ毎日通っている常連の姿も。利用者からは「家じゃ誘惑が多くて落ち着いて描けないけど、ここなら集中できる」「漫画好き同士が交流できて楽しい」などの声をよく聞くそうです。

■ 各種講座を開講 プロ直々の指導や初心者向けも

漫画空間では、さまざまなイベントや講座も開催しています。

プロによる講座も不定期に開催され、『チャンピオンRED』(秋田書店)で連載されている「家電探偵は静かに嗤う。」の原作者・藤見泰高さんがプロット講座やネーム講座を担当しました。『月刊ドラゴンエイジ』(富士見書房)で「GOSICK」を連載していた漫画家・天乃咲哉さんのトークライブで、生原稿の作画が実演されたこともあります。藤見さんや天乃さんは、もともと漫画空間の利用者だったそうです。

定期講座では、小中高生を対象に基本的な道具の使い方を教えながらオリジナルキャラクターを作る「子ども漫画講座」や、短編作品の完成を目指す初心者向けの「チャレンジ講座」、漫画用ソフトの習得を目的とした「デジタル漫画講座」が毎月開かれています。6月からは「背景講座」の開催も予定しています。

■ 従来の漫画喫茶にはできないコミュニケーションを

このような一風変わったお店を開いたことについて、オーナーの内藤さんは「今までにない形態で漫画に特化し、新たなニーズを開拓したかった」と語ってくれました。内藤さんは2009年、27年勤めていた大手教材会社を辞め、退職金を元手にお店をスタートしたそうです。

「子供のころから漫画が好きで、学生時代は漫画研究会に所属していました。在職中も、いずれ独立する時は漫画に関することをやろうと考えていました。漫画を描くには道具が必要ですが、そもそも『描く場所や道具がない』『どうやって描いたらよいかわからない』という人も多い。読み手だけでなく描き手の裾野を広げるために、誰でも気軽に描けて刺激し合える場所を作りたかったんです」

開店当初は利用者がゼロの日もあったそうですが、今ではうわさを聞きつけた人々が国内外からやってくるほどの人気店に。内藤さんにお店の魅力を聞いたところ、「同じ趣味や志を持った人同士が交流できる。漫画好きにとっては天国に近いんじゃないかな」と答えてくれました。

<漫画空間>

  • 住所:名古屋市中区大須2丁目30-8 松原ビル2F
  • TEL・FAX:052-231-7781
  • 営業時間:平日 正午12:00~午後11:00、休日 午前11:00~午後11:00
  • 基本料金:最初の1時間は480円。延長10分ごとに60円が加算
  • パック料金:3時間パックは980円、6時間パックは1,680円
    • ※ワンドリンク付き

漫画が読めて、描ける漫画喫茶「漫画空間」(名古屋/東京)

写真提供:漫画空間
文: タニグチナオミ

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